【女子教育セミナー】

女子が伸びる理由、女子を伸ばすコツ

−神戸女学院・四天王寺・西大和学園−

[1]女子の英語は高度かつ実践的

広野 大学入試改革では英語4技能の評価が取り入れられ、小学校での英語の授業の本格実施や、海外大学をめざす生徒が増加するなど、英語を取り巻く環境が変化しています。皆さんの学校ではどのような英語教育を実践していますか。特色をお聞かせください。

 本校は143年の歴史を持ちますが、創立から長い間、英語の授業はアメリカ人の宣教師が担当しました。その教授法を宣教師の名前を取って「クルーメソッド」と呼んでいます。その特徴は、中学の3年間、英語のみで授業を展開することにあります。中1の最初は、単語の導入に発音記号を活用。どんなに長い文でも、難しい単語でも、正しく発音できるようにします。また、1単元を2時間で展開し、1時間目はアメリカ人と日本人の教員によるチームティーティングで学び、2時間目はクラスを二つに分け、2人の日本人教員が1時間目の復習をして定着を図ります。慣れてくると、詩の暗唱やロールプレイ、リスニングなどを通じて、本物の英語をどんどんインプットします。そこから、少しずつ文字のほうへシフトしていき、中2から中3になると本物の英語を大量に読む多読を実施。パラグラフライティング、プレゼンテーションなども学びます。こうした英語教育を行うことで、中3では大半の生徒が英検の2級に合格。最近は10名前後の中3生が準1級に合格しています。
 高等学部になると、さらに翻訳やディスカッション、ディベート、エッセーライティングなどが加わってきます。目標は、自分のことばで自分の意見をしっかり表現できること、相手の意見を聞いて同意をしたり反論したりできること。英語の授業だけでなく、学校生活のなかに英語を使う機会、聞く機会、話す機会を設けて、4技能のバランスの取れた言語活動を行っているのも特徴です。大学入試改革にも対応していますし、海外大学に進学する卒業生も増えています。彼女たちは、世界のどこに行っても英語で困ることはない、第2外国語、第3外国語を習得する場合もクルーメソッドが応用できると言います。

稲葉 本校では昔から英語教育に力を入れてきました。女子の特性であるこつこつ学習する姿勢に合っているからです。最近は大学入試改革に合わせたプログラムも取り入れています。ICT教育として、中3からはeラーニングを導入。各自のスマートフォンやタブレット、パソコンで自分の学力に合わせて自習ができるようにしました。また、希望制の校内語学研修として、春休みと夏休みに外国人講師による5日間のプログラムを用意しています。習熟度別に少人数のクラスを編成して、1時間目から6時間目まで英語漬けで学んでいくものです。海外語学研修では、オーストラリアのブリスベーンでのプログラムがあります。現地の学校に行き、ホームステイや異文化体験を通して、グローバルな女性の育成を図っています。
 高1では4技能検定のGTECを全員が受検。英語のレベルの高い生徒には英検、TOEFLの受検対策のための特別講座も実施しています。また、今年からは8月の3日間、ハーバード大学の現役学生との交流を通して、掘り下げて考える力や自分の意見を英語で表現したり、伝えたりする力を養成するプログラムを実施します。新しい取り組みをいろいろと導入するなかで、AIを使って4技能を養う教材を全国で初めて企業と共同開発し、授業でも使い始めました。機械が相手なのでスピーキングの練習も恥ずかしくなく、どんどん能力が上がっていきます。英語教育で大切なのは初期段階。小テストを多く実施するなど、まずは学習習慣がつくよう工夫しています。英語は、基礎と努力が重要です。

牧村 本校は創立30数年のまだ新しい学校です。わたしが学年主任をしている高2は、中学に女子を受け入れた1期生です。当初は、女子生徒たちにどんな型を用意しようかと考えていましたが、そうではなく、生徒に合わせた授業を展開していくべきだという結論になりました。本校の女子生徒は非常に野心的で、中1の段階から「国連に行きたい」「グーグルで働きたい」というような生徒が少なくありません。そのため、英語教育でも、実際に使える英語ということを念頭に置いています。たとえば、中2からはオンライン英語を導入。タブレットを使って、英語を母語とする人と1対1でリスニングやスピーキングを行っています。
 自然な英語に触れるため、多読も行っています。辞書を使わず、原書をそのまま読むプログラムですが、多い生徒になると年間100万語の英語に触れています。中3では、アメリカへ修学旅行に行って1週間ホームステイをします。その後、希望者には中3の1月から3月に短期留学制度を設けています。スーパーグローバルハイスクール(SGH)認定校なので、高校生になると、世界で起きている問題を解決していく活動にも取り組みます。また、高校生が各国の大使となって意見提案をする模擬国連にも参加。社会問題を考え、英語で発信しています。さまざまなプログラムを通じて、英語に対する心の壁を払っていくのが本校の英語教育の特徴です。