【パネルディスカッション】

灘・開成と考える
AI/グローバル時代の子育て

[1]AI時代の子育てのヒント

髙宮 AIが進化する一方、ITネイティブ、デジタルネイティブという言葉が登場するなど、子どもをめぐる環境が変化しています。今の時代の子育てについて、先生方からアドバイスをいただけますか。

和田 現代の子どもたちは、パソコンやタブレット、スマートフォンなどのIT機器に、生まれたときから囲まれています。これらを持ってきてはいけない、あるいは持ち込んでもいいが、授業中に鳴らしたり使ったりしてはいけないというルールを設けている学校は少なくありません。しかし、いずれはそうも言っていられない時代がくるでしょう。IT機器が勉強道具の一つになるのではないかと思っています。すでに、1人1台のタブレットで学習をしている学校もあります。当たり前の道具として使えるようになるには、周りの大人が使い方や危険性を教えるなかで、どんどん使っていく子育てが必要ではないかと思います。

髙宮 子どもたちに任せながら、制御するところは制御するということですね。

柳沢 デファクトスタンダードということばがあります。これまでの標準規格は公が決めたものでした。JISなどがそうです。今はそういう時代ではなく、多くの人が使っているものが結果として「標準=デファクトスタンダード」になっていきます。スマートフォンがこれだけ普及したのも、多くの人にとって便利で使い勝手がいいからでしょう。コンピューターソフトのOfficeにはWordが入っていますが、Wordがデファクトスタンダードになる前は、いろいろなプログラムがあったわけです。しかし、どれが使い勝手がいいかということで、今、Word以外を使っている人はほとんどいなくなりました。誰が決めたわけではないけれど、それぞれの人が選んだことによって、標準が決まっていく。今後はそういった事柄がもっと多くなっていくでしょう。それを教育の現場で否定するわけにはいきません。ただ、そこに生ずる危険性はある。それをきちんと教えていくことが教育現場の役割だと感じています。

髙宮 ITネイティブ、デジタルネイティブの生徒を見ていて、「おもしろいな」「すごいな」と思われることはありますか。

柳沢 開成の卒業生に、筑波大学の准教授になった落合陽一という人物がいます。われわれの網膜には何が映っているのか、それを外に引っ張り出す研究をしているのですが、彼の頭の中は非常におもしろいと感じています。

和田 灘の生徒のなかには、情報科学に詳しい教員を超えるようなデジタルネイティブがいます。スマートフォンへのウィルス侵入を防ぐホワイトナイトとして中学生の頃から活躍しているような生徒です。パソコン部という部活動には、代々そういう猛者がいるんですね。経済産業省の異能プロジェクトの補助金をもらって研究をしている生徒もいます。こういう生徒の個性を日本の将来のためにも伸ばして、AIの時代に活躍できるよう応援していきたいと思っています。