<特別講演>

遊ぶように学ぼう
大学行くのは何のため?

[1]国内外で両生類を研究

 わたしは京都大学の総合人間学部、地球環境学堂、人間・環境研究科という京大で最も新しい学部と研究科に所属し、両生類の系統分類を研究しています。いろいろな国に行って両生類を捕まえては名前を調べるという研究です。ちなみに両生類は世界に8600種ぐらいいます。
 ラオスでは、アシナシイモリという手足のない両生類を1週間かけて捕まえました。土の中にいるので、熱帯雨林に入って土を掘る作業を続けます。毎日へとへとになりますが、1週間で1匹捕れればいいほうで、2週間近くかかることもあります。アシナシイモリは世界でも五つぐらいのグループしか研究していません。
 現地の調査ばかりでなく、日本でもいろいろな研究をしています。たとえば、カエルロボットを作って、本物のカエルがロボットにどう反応するかを探ったり、釣りに使う発光体を利用してオオサンショウウオの仲間を集めたり。和歌山県では、増え過ぎて困っている外来種のアフリカツメガエルを地元の高校生と一緒に駆除する活動をしていますが、年に数万匹捕まえるので、このカエルを使った研究としてカエルが右利きか左利きかを調べました。
 現在は、粘土で作った300匹あまりのイモリを使ったベトナムでの調査を進めています。ベトナムのジャングルには、ベトナムコブイモリという赤く派手な模様のイモリがいますが、なぜそんなに派手なのか。毒を持っていることのアピールと考えられますが、それを確かめるため、300匹の粘土のイモリを川沿いに置いてネズミや鳥がどう反応するのかを観察しました。
 研究においては、この「Why?どうして?」が一つのアプローチで、もう一つは「How?どのように?」の疑問。ここでは、このイモリはなぜ派手なのか、どのようにこの模様をつくり出しているのかというアプローチです。わたしたちはいつもこうした「Why?」「How?」を考えながら研究に取り組んでいます。