神戸女学院中学部・高等学部 英語科主任
稲垣 祐子先生
広野 新たな学習指導要領の下で中学・高校の英語が以前よりかなり難しくなり、また入学時の児童の学力差が広がっています。文部科学省の調査でも、中学に入った段階で英語が嫌いという子が増えている現状が明らかになりました。3校の先生方はこうした現状をどのようにとらえていますか。
松本 四天王寺では、小学6年生対象のオープンスクールで授業体験を行っていますが、数年前までは英語の授業に来てくれる子は目を輝かせていました。最近はそこまでではなく、「英語の授業が好きな人は?」と聞いても以前ほどは手が挙がりません。小学校での授業はさまざまなので、本校ではあまりやってこなかった子に合わせて中学の授業を始めます。小学生の間は特別な英語の勉強は必要ありません。中途半端に嫌いになって中学に来るよりは、新鮮な気持ちで中学校では新しい教科としてがんばろうと思ってもらえるほうがいいと思います。
川野 金蘭千里でも、同じように今の英語教育に対する問題意識を持っています。「読む・書く・聞く・話す」の英語4技能を伸ばすことが求められますが、つまりは「聞く」「話す」というところをどう底上げしていくかでしょう。グローバルコミュニケーションのツールとして身につけさせることは大事ですが、学校教育としては伝統的な教養としての英語も無視できません。大学に進学してからは文献を読むことが大事になるので、「読む」「書く」ための理解は外せないと考えています。
稲垣 神戸女学院では、赤ちゃんが母国語を学ぶように英語を学んでいきます。小学校でどれだけ英語をやっているかというよりも、中学に入学してからの努力に期待しています。小学校ではとにかく英語を嫌いにならないで、中学校での英語を始めてもらえればと思っています。