四天王寺高等学校・中学校 入学対策委員(英語科)
松本 真奈先生
広野 3校では中学の段階で、どのような英語教育を行っているのでしょうか。
松本 中学で使用する検定教科書は新たに改訂されてからとても難しくなり、初めて見たときは驚きました。生徒が英語嫌いになると困るので、中1の最初は教科書を使わず、パターンプラクティス的なドリルで肩ならしをしてから教科書の内容に入るようにしています。そうしなければ、最初のページからbe動詞も一般動詞も混在して出てくるので、理解して体系立てて勉強するのは難しいと感じます。それ以外は基本的に以前と大きな違いはなく、昔からある文法ベースのテキストや問題集、読解練習の問題集などを使用しています。ただ、今は発音練習のためのアプリも使っています。教員にもそれぞれの生徒がどの程度練習したかが把握できるものです。同じように自分のレベルに合わせて進めていくeラーニングも取り入れました。生徒によってスタート地点も進むスピードもさまざまですが、1週間のペース配分を決めてクリアしてもらいます。「読む」「書く」以外に「聞く」「話す」学習をプラスアルファで取り組むハイブリッド型が四天王寺の英語教育の特徴です。昔ながらのしっかり机に向かって勉強することに加え、実際に英語を話したり聞いたりすることの両方を大事にしています。
川野 「聞く」「話す」については、本校もよく似た仕組みを取り入れています。英語はICTツールと親和性が高いので、使わない手はないですね。現在は、パラグラフの朗読の精度をAIがジャッジするアプリを使っています。それぞれの朗読を教員も聞くことができるので、発音の仕方などの注意点は一人ひとりにコメントしています。さらに、動画コンテンツなどでディクテーションや外国人講師のレッスンが受けられるアプリも中3以上で導入しています。流暢に英語を操れる生徒が増えているのは、こうした学習の成果だと感じます。ネイティブ講師による授業も中1から高2まで週1時間ずつあります。中学の間は「英語によるコミュニケーションに慣れる」「英語を嫌いにならない」「英会話に親しむ」を重視し、高校では英語での考え方や思考を使った文章の作り方や構成に重きを置いて指導しています。また、本校の特色でもある毎朝の20分テストも英語学習に役立っています。どれだけ効率的に学習できるツールが登場しても、暗記や反復をせずに語学力は向上しません。わずか20分ですが、長文読解やリスニングも含むので、テストを繰り返すことがしっかりとした英語力を身につける大きな種になっています。英検は高1で大半の生徒が2級取得を完了し、高2で準1級に手をかける生徒が出始めるというペースでやっています。
稲垣 神戸女学院の英語教育の代名詞となっているのが、クルー・メソッドという英語教授法です。これは外国語を、母国語を介さずに教える方法で、1930年から本校で宣教師と英語教員として勤めたアンジー・クルー先生が編み出しました。赤ちゃんが言語を習得するように学んでいくのが特徴で、中学の授業では英語のみを使用。英語だけの授業とすることで、生徒は一語一語を日本語に置き換えることなく英語を理解するようになります。最初は発音カードを使用して、つづりよりも先にたくさんの単語を学んでいきます。発音記号を見て単語の絵を書く練習をするなど、英語をイメージとしてとらえることで、英語で考える経験をどんどん増やしていきます。中3ぐらいになると、かなり高度な英語力がついているので、キング牧師やマザー・テレサのスピーチを聞いて暗唱したり、シェイクスピアやオー・ヘンリーの短編小説を読んだりするなど、知的好奇心を満たす教材を使います。中3の終わりまでには高校で習う文法事項はほぼすべて網羅しており、3年間の学習の成果は英検の受験結果にも表れています。受験は任意ですが、毎年、中3生約140名のうち、60名以上が2級以上を取得します。中2・3全員が学年末に受験するTOEFLジュニアでは、自立した言語使用者とされるCEFRのB1レベルに中2で36%、中3で83%が達しています。