【特別座談会】
甲陽学院・東大寺学園・灘

『好き』で世界を切り拓こう

甲陽学院中学校・高等学校 校長 衣川 伸秀先生

甲陽学院中学校・高等学校 校長
 衣川 伸秀先生

[2]さまざまな分野に広がる卒業生の活躍

髙宮 3校にはいろいろな分野で活躍している卒業生がいます。最近注目している方やユニークな方をご紹介いただけますか。

海保 灘校には活躍する卒業生がたくさんいますが、一人挙げるとすれば、私の教え子で芦屋市長の髙島崚輔さんです。ただ、立派になった彼を見ていると、そこに学校の教育が果たした役割はそれほど大きくないという気がするのです。一般にギフテッドと呼ばれるような生徒たちに対して学校が果たせる役割は限られていて、彼らが好きなことに自由にチャレンジできる知的刺激に満ちた環境を整えることぐらいしか無いと思います。

 現役の生徒たちも主体的にいろいろな活動をしています。生徒会の福祉委員長が東日本大震災直後にどうしても被災地にボランティアに行きたいと始まった東北合宿は、それ以来、灘校生徒会の行事として毎年続いています。今は自主的な研修活動の機会になっています。現役の生徒たちも卒業生に負けず劣らずがんばっています。

衣川 活躍する卒業生というお話では、4月に高市総理大臣とフランスのマクロン大統領が本社を視察したアストロスケールという企業の CEO が甲陽学院の卒業生です。人工衛星の残骸など、宇宙ごみを除去できないかと会社を興した方です。最近の卒業生では、真田将太朗さんという画家がいます。東京藝術大学を出た後に東大の大学院に入り、今は美しい色合いの抽象画を描いています。機会があればぜひ彼の作品をご覧いただきたいです。

本郷 2年前のこのセミナーではフジテレビアナウンサーの上垣皓太朗さんを紹介しました。今注目しているのは、谷津凛勇さんという22歳の青年です。本校を卒業後、東大に入って半年後にはアメリカのカリフォルニア大学バークレー校へ。もともと教育学を専攻していましたが、今はバークレー校をやめて教育系の起業家として活躍しています。彼は在学中、文芸同好会と新聞部に所属し、文章や読書が大好きで、そうしたことを発信することも好きでした。高1のときには児童文学を紹介するフリーマガジンを創刊して全国に発信し、活動をまとめた論文が賞をもらっています。そういう発信力、あるいは頭の中を整理する力のベースは東大寺学園の学園生活の中にあったのではないかと思います。好きなことに没頭することが明確な形で生きることも、目に見えない形で生きることもあると思いますが、これも一つの例です。