【教育対談】

言葉の力で未来を変える

〜受験生の親として大切にしたいこと〜
作家 藤岡陽子さん

作家
 藤岡 陽子さん

[1]新聞記者から看護師、作家へ

広野 現在は作家としてご活躍されていますが、さまざまなお仕事を経験されたそうですね。これまでの経緯を教えてください。

藤岡 大学を卒業してスポーツ新聞の記者になり、活躍した選手の裏で挫折して辞めていく選手とたくさん出会いました。わたしは陰で努力し続ける人を書きたいと思って会社を辞め、小説家をめざすことにしました。そこからずっとやってみたかった留学をしようと、タンザニアのダルエスサラーム大学へ。1年間留学して小説家をめざしましたが、なかなかデビューできず、アルバイトをするうちに看護師の免許を取ろうと 30歳で看護学校に入学しました。34歳で看護師として働き始め、38歳で小説家としてデビューして今年で18年目になります。

広野 デビュー作は、2009年の『いつまでも白い羽根』ですね。

藤岡 看護学校時代に結婚して子どもも生まれました。1年休学し4年かけて卒業した後、看護師として働き始めた傍らで、新人賞への応募も始めました。落選が続いた後で編集者から「長編を書いてみませんか」と連絡をもらい、自分が今いちばん詳しくおもしろく書けるのは看護学校の話だと。その作品がデビュー作になりました。

広野 ご自身の経験が小説の素材になっているのですね。その後、多数の本をお書きになられています。『リラの花を咲くけものみち』は、お子さんに関係する物語ですね。

藤岡 『リラの花咲くけものみち』はNHKでドラマにもなりました。北海道で獣医師になることをめざす獣医学生の物語です。わたしの娘が北海道の大学で獣医学を学んでいたので、獣医学生の物語を書いてみたいと思いました。娘は勉強が得意なほうではなかったものの、獣医師になりたいという保育園時代からの夢を叶えるためにがんばり、今春から獣医師として働いています。夢を持って生きることの強さ、苦手なものを突破していく姿をこの物語に込めて書いたところ、賞も頂くことができました。思いが詰まった物語です。