<教育対談>

中高のその先で伸びる子 伸びない子

[2]「いい研究者」になるのはどんな人?

髙宮 学生を見ていて、この人は伸びそうだというのは何となく見当がつくと思うのですが、先生はどんな人がいい研究者になるとお考えですか。

西川 難しい質問ですが、コミュニケーション力は大事かもしれません。研究はうまくいかないことの連続ですが、実は失敗が大チャンスになることもあります。その点では、フレキシブルに考えられることも大事です。議論を交わす場面も多いですし、ちょっと投げかけるとすぐ返ってくるというようなコミュニケーション力が高い人はやはり研究能力も高いです。しかも、そういう人は賢いので、きちんと先を見ていると感じます。

髙宮 先生の研究室にいる学生のうち、研究者として残る人はどれぐらいいるのでしょうか。

西川 10年に数名ですね。現在、わたしの研究室には29人の学生が7か国から来ていますが、研究者として自立しそうなのは2~3人程度です。

髙宮 少ないですね。

西川 そうですね。ただ、みんなが研究者になると社会も困るので、それでいいと思っています。むしろ研究者まではいかないけれど、研究をよく知っていて、一般企業で働いているという人がもっと必要なのではないかと感じます。

髙宮 29人で7か国と、実に多様性に富んだ研究室ですが、どの国の学生が多いのですか。

西川 中国・ベトナム・シンガポール・マレーシア・インドネシアなど、アジア圏が多いです。ブラジル人もいますし、日本人では現役の医師など、わたしより年上の人もいます。国際的にも多様ですが、日本人も多様です。

髙宮 日本の学生と海外から来ている学生で違うところはありますか。

西川 「これをやりたい」という気持ちの強さは違うと思います。海外から来る学生は、それまでに自分で稼いできたり、奨学金をもらったりしているので、モチベーションが明らかに高いです。それが日本人の学生にはいい刺激になっています。