<教育対談>

中高のその先で伸びる子 伸びない子

[3]企業や大学が求める力とは

髙宮 多くの学生を企業に送り出す立場として、今、企業や社会ではどんな力を求められているとお考えですか。

西川 発想力は大事です。たとえば、イモリが何に襲われているのかを調査するときに、「じゃあ粘土で模型を作ろう」という発想ができるかどうか。そして、クレイジーだけどそれを本当にやってしまえるかどうか。300個以上の粘土のイモリを作って、1日に何回も見回りをしてへとへとになって、それでもやり切る。そういう発想と最後までやり遂げる力が大事だと思います。
 発想といってもまったく新しいものの発想は必要ありません。世の中にすでにあるものを組み合わせる能力が研究でも非常に重要です。企業もそれを求めていますし、大学ではそこを育ててほしいと言われます。

髙宮 研究には根気が必要ですし、日々考え続ける必要があります。そういう力は企業に行っても役立ちそうですね。発想力というところでは、今話題になっているChatGPTについてはどうお考えですか。大学や研究の現場ではどんな使われ方をしているのでしょうか。

西川 わたしの研究室ではChatGPTは禁止にしました。レポートの作成などに使うと、想像力を削ぎますから。使い方はいろいろありますし、うまくいくこともあるかもしれませんが、生成型AIはネット上から情報を集めているわけで、本当に新しいものは作れません。そこは人間ががんばらなくてはならないので、学生には禁止しています。

髙宮 早くから使ってしまうと後々苦労しそうですが、中高生あるいは小学生はどのように向き合うといいのでしょうか。

西川 中学生と高校生の娘がいるのですが、スマホデビューでもものすごく悩みました。ChatGPTはとても便利ですが、楽をするために子どものときから使うのはよくないでしょう。気をつけたほうがいいような気がします。