東大寺学園中・高等学校 校長
本郷 泰弘先生
髙宮 情報教育が重視されるようになり、大学入学共通テストにも今年から「情報Ⅰ」が加わりました。デジタルネイティブと呼ばれる中高生に対して、どのような情報教育を行っていますか。
本郷 携帯電話の持ち込みは以前から許可しており、今ではほぼ全員がスマホを持っているためSNS上のトラブルも起こっています。情報についての利点と危険性をしっかり教えなくてはならないので、中1の授業で情報の取り扱い方を学ばせているほか、トラブルに詳しい卒業生の弁護士に来てもらって、中1・2に話をしてもらう取り組みをしています。高校では高1と高3で「情報」の授業を行いますが、倫理観を育てるのは情報関連のことを教えるだけでは難しいと感じます。さまざまな取り組みを通じて、他人をおもんばかる気持ちや、これをするとどうなるのかという想像力を鍛えていかないと問題の解消にはつながらないと考えています。
海保 本校でも生徒の情報端末の過度な使用が問題になり、放課後のWi-Fi使用を制限すべきか教職員で議論しましたが、結局制限はしていません。今や情報端末は自主学習や生徒会活動に欠かせない校内インフラですし、学校側がルールを決めて禁止すれば、生徒はそこで思考停止してしまうからです。
衣川 生まれた時から情報機器に親しみ、いいことかどうかを意識せずに軽い気持ちで使っているのがデジタルネイティブ世代なのかもしれません。だからこそ身近な情報機器の使い方にどれだけ批判的な思考ができるか、倫理観を持てるかが大切です。本校でも講師を呼んで話をしてもらったり、中学の技術や高校の情報の授業を通して教えたりしています。中高が別立地で中学校はスマホの持ち込み禁止ですが、それでもSNSでのトラブルはあります。持ち込みを禁じていても教育は常に必要です。