【セミナー】

私学の多彩な「英語教育・国際教育」

―神戸女学院・四天王寺・金蘭千里―
金蘭千里中学校・高等学校 教頭 川野 貴志先生

金蘭千里中学校・高等学校 教頭
 川野 貴志先生

[3]学校外に広がる生徒の活躍

広野 授業だけにとどまらず、学校外でもさまざまなプログラムを用意しているのが私立中高一貫校の英語教育の魅力です。授業以外ではどんな取り組みをされていますか。

川野 国際的な関係の行事にかぎらず、本校では校外に出かけたり、ゲストを招いて講演会を開いたりするなど、生徒に本物に触れてもらう機会を数多く提供しています。国際的な取り組みで目玉になるのは、高1対象のイギリス海外研修です。希望者を対象に夏休みに実施するもので、20年以上続けてきました。イギリスの名門パブリックスクールであるハロウ校で2週間、寄宿舎に滞在しながら学びます。すぐに英語が流暢になるというわけではありませんが、ウィンザー城やストーンビレッジなど英国内の名所を回ったり、オックスフォード大学の学生から学んだり、いろいろな経験ができるので、将来のことを考えるきっかけとしても役立っています。また、職業について幅広い可能性を見いだすために行っている講演会では、アメリカ総領事館の外交官や本校の卒業生で国連世界食糧計画の職員などをお招きして実施してきました。授業外の取り組みでは、中学生対象の英語暗唱コンテストを実施。学年が上がるごとに要求を高くしています。近年は大学受験でも総合型選抜等が増え、学外の実績を問われるようになったので、校内のイベントを外部コンテストへの踏み切り台にしてもらいたいと考えて強化しています。

稲垣 希望者を対象に、夏休みにアメリカアカデミックスタディツアーやオーストラリアスタディツアーのほか、日本の大学に留学中の学生リーダーを招いてディスカッションやプレゼンテーションを行うプログラムを実施しています。国際科学オリンピックや模擬裁判、英語スピーチコンテストなどでも多くの生徒が活躍していますが、国際大会でも気負わずに参加できるのは英語オンリーの環境に慣れており、英語でのコミュニケーションに抵抗を感じていないことが非常に大きいと思います。海外大学へ進学する生徒も毎年数名います。現在は海外進学のための相談窓口を設けて、海外大学進学を希望する生徒のサポート体制を整えています。本校の卒業生は幅広い分野で活躍していますが、物怖じせずに英語が話せる、英語でプレゼンすることに慣れている、また大学入学後にほかの外国語習得にも中高での英語教育が役に立ったという声がたくさん寄せられています。本校の英語教育が生徒たちの選択の幅を広げて、新しい世界の扉を開く手助けとなるよう、時代の変化に対応しつつ、90年以上も続くクルー・メソッドを大切に続けていくのがわたしたちの使命と感じています。


松本 学外での語学研修旅行は二つあります。一つは、イギリスのチェルトナムレディースカレッジでの研修です。現地の寮に滞在しながら授業を受けたり、英国の歴史を学んだりするプログラムです。もう一つは、中3から参加できるオーストラリア・ブリスベンでの研修です。ホームステイをして、自然や動物と触れ合いながらいろいろな体験をして、いい刺激を受けて帰ってきます。また、ハーバード大学の学生が本校に来てプレゼンテーションやディスカッションを行うプログラムも実施しています。こちらは語学研修ではなく、身につけた英語力を使っていろいろな人と話し合いをしたり、自分が考えている課題を発表したり、その課題にはどんな解決策があるのかを探っていったりするかなりレベルの高いプログラムです。さらにもう一つ、東京や名古屋の私立校と連携し、オックスフォード大学の医学部で授業を持っている先生方から免疫学や救命救急、医療格差などについての授業を受けるプログラムを実施しています。日本に来て授業をしてくださる大学の先生方にはもちろん、他校の高校生からも多くの刺激を受ける5日間のプログラムです。参加した生徒を見ていると、5日間でこんなに堂々とイギリス人の先生に自分の意見を言うことができるようになるのかと驚かされます。ここに到達するために中学での英語をがんばろうと日々の教育に取り組んでいるところです。

広野 それぞれの学校の英語教育や国際教育の特色がよくわかりました。小学校での英語には過度にエネルギーをかけなくてもよいというのも共通の認識だったかと思います。一方で、中学に入学した後は英語が重要な教科の一つであり、大学入試においても英語で大きな差がつきます。子どもたちが将来社会に出るときには、今以上に英語を使う場面が増えるのも確実でしょう。学校選択の際には、どんな英語教育をしているのかも一つの指標にしていただくとよいかと思います。先生方、本日はありがとうございました。